2018年12月14日

「異性の心を上手に透視する方法」を読んでみた

恋人や配偶者との関係を心理学で解き明かしてみたい、と思いませんか。

相手のことは大好きだが、長続きしない。相手が急に距離をとる。相手との関係に不安を感じてそのことばかり考えてしまう、など。

親密な他者との関係は、アタッチメント理論という用語で心理学では研究されています。

この理論が好きで研究者になる人は割と多い気がします。

恋愛を研究の対象に出来るのは楽しいですよね。

アタッチメント理論は以前の投稿でご紹介したのですが、一般書籍のhow to本でアタッチメント理論を紹介しているものを見つけたので、今回はその書籍のレビューをしてみたいと思います。

(以前紹介した記事は乳幼児期のアタッチメントであり、今回紹介する本は成人期のアタッチメントであるため、内容が若干異なります。成人期のアタッチメントについては、今後執筆したいと思います)


「異性の心を上手に透視する方法」

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アマゾンのレビューを見てみると、星4.5で非常に高評価です。

著者はアミール・レバインという方で、この本で初めて知りましたが、精神科医をされているようです。だから、心理学の論文で名前を見かけることが無かったのかもしれません。

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まず、アタッチメント理論の成り立ちから押さえられていて、

アタッチメントの先行研究もきちんと紹介されていて、

具体的なエピソードが沢山取り上げられていたため、初見の人が回避型や不安型(とらわれ型)の説明を受けたとしても、イメージが付きやすいと感じました。


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○従来の心理学研究と異なる点
安定型、不安型(とらわれ型)、回避型の診断項目で、通常、診断に使用されるアダルトアタッチメントインタビュー(AAI)やアダルトアタッチメントスタイル尺度などとは質問項目が割と異なっていました。


従来のものはその人が育ってきた家族に(も)焦点を当てていますが、この書籍では恋人や配偶者の現在の行動や発言だけに焦点が当てられていて、家族の質問項目は無いようです。


なので、相手のアタッチメントタイプを多面的には捉えられていないのかもしれないのですが、この書籍の診断は、自分1人でも相手を診断できるので、使い勝手が良さそうです。

また、AAIが専門的スキルが必要となるため、一般書籍で方法として取り入れる方が現実味がない気がします。

行動や発言に関する項目も従来のものとやや異なっていましたが、書籍のタイプ別の説明を読むと納得できたため、この書籍で説明されていた回避型、不安型(とらわれ型)、安全型を診断するツールとしては問題ないと思いました。

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最後に、タイトルが残念な点について。

本の内容を反映するなら「恋人の対人関係パタンを上手に透視する方法」等に変えた方が良さそうです。

内容が面白いだけに。

「異性の心を上手に透視する方法」



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2018年04月21日

「恋愛の科学」を読んでみた

恋愛をもっとシンプルに捉えたい。どうしたら恋愛が上手くいくのか知りたい・・・。

私の場合は、どのような心理状態が「恋をしている」のか、その基準さえあいまいであり、恋愛を定義するところから始める必要がありました。


このような問題を解決してくれる、面白い書籍を初めて見つけたので、皆さんに紹介したいと思います。


「恋愛の科学」(作:越智啓太)

という本です。




とにかく、取り上げられている研究数が豊富で、かつ研究データに根差した見解が述べられている点で、信頼に値する書籍だと考えています。

体裁が似ている書籍として、メンタリストDaiGoさんが出版されている書籍があります。

どちらも、研究データに根差し、分かりやすく書かれていますが、「恋愛」をテーマにするならば、この本をオススメします。

紹介されている研究量が非常に多く、内容が濃いです


またこの本では、統計の話が出てきます。

しかし、統計の基礎知識もコラムで分かりやすく解説されているので、統計を知らない方も大丈夫です。
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著書の越智さんは、現在、法政大学心理学学科の教授で、デートバイオレンスやデートハラスメントなどについて研究。

元々は、警察庁科学捜査研究所研究員として、犯罪捜査や虚偽検出で心理学を応用していた方だそうです。

そのため最終章の「好きなのに傷つける理由の心理学」ではデートバイオレンスやストーキングについての研究が取り上げられていますが、

私が今回お勧めしたいのは、第1章の「愛を測定し診断する心理学」と第3章の「恋に落ちる過程の心理学」です。

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第1章「愛を測定し診断する心理学」

名前の通り、愛を測定し、診断することが可能です。著者や心理学者が作った信頼性と妥当性の高い

心理テストを自ら解くことで、自分がどのような恋愛をするタイプなのかを客観的に把握できるとともに、他にどのような恋愛タイプをもった人がいるかが分かります。

例えば、スタンバーグによると、恋愛は「親密性」「情熱」「コミットメント」の3つの要素からなると定義されています。

日本の大学生は「親密性」と呼ばれる友情関係の割合が高いタイプが多く、「情熱」という激しく燃えるような恋に陥るタイプは少ないそうです。

そして「コミットメント」と呼ばれる冷静で知的な判断をするタイプは関係が長続きしやすく、「情熱」タイプは燃え尽きるのが早いことを示した実験も同時に紹介されており、それも興味深く思いました。


また、恋愛の進展を促すのは「愛情」「友情」「尊敬」のうちどれか、という問いに答える研究も紹介されていました。

多くの方が「愛情」を想像すると思いますが、心理学の統計では「友情」という答えが出ています。

これは、期待を裏切り、個人的に面白い研究結果でした。

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第3章「恋に落ちる過程の心理学」

この章で印象に残ったのは、恋愛で吊り橋効果は逆効果になるという研究です。

この本の帯タイトルにもなっていた話です。

知らない人はいない、と言えるほど有名な「吊り橋効果」ですが、

ある人にとっては、逆効果になるそうです。

元々この効果は、吊り橋を渡る時の恐怖のドキドキを恋愛のドキドキと錯覚してしまうという研究結果から、恋愛テクニックとして広まりました。

しかしこれを有効活用できるのは、美人限定だそうです。

ドキドキした際に、美人を見ると、「この人が美しいからドキドキしているんだ」と勘違いする可能性が高まる一方で、

美人でない場合は、「この人にドキドキするはずがない」と勘違いが修正されるという話です。



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この書籍は、知人に貰ったものですが、知人は数字が多く、読めなかったそうです。

しかし、それは非常に勿体ない!

最初の10ページほど我慢して読んでいけば、今まで知らなかったような面白い恋愛研究と出会うことが出来ます。

また統計においては、数字の見方が分かりやすく解説されているため、その通りに読めば、大丈夫です。

知人のように数字アレルギーが起きませんように…

長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

是非、読んでみてください。




posted by アリシス at 02:23| Comment(0) | 本のレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月07日

市販の本を心理学からレビューしてみた

現役東大院生のアリシスです。

世の中にはありとあらゆるHow to本が溢れかえっています。

しかしそれらの本に,科学的根拠はあるのでしょうか。

私が心理学的観点から科学的に正しいと言えるのかを検証していきます。

今回はAmazonのビジネス文書部門ランキングで1位を獲得した「新しい文章力の教室」(著:唐木元)をレビューします。



この本の本質は,先に構成を書くというものです。
文章を書き始める前に骨組みを準備することで,良い文章が書けるという内容が書かれています。

心理学の先行研究から考察すると,この見解は非常に的を射ています

心理学の先行研究で,学生を対象に作文力がどうしたら上がるのかを実験したものがあります。

その一つとして生徒に,文章構成を決めさせた後に書かせた作文と,文章構成を決めずに文章を書き始めさせた作文の出来を比較した実験があります。

その結果先生の評価が,構成無しの作文より構成有りの作文の方が高くなりました。

骨組みがしっかりしたことで,読み手に伝わりやすい文章になったと考えられます。

さらに,作文に掛かる全体的な時間においても,文章構成を準備した方が短縮できるという結果になりました。

構成を作らず文章を書き始めた場合,書き直しや繋げ直しといった後の修正に時間が掛かってしまうため、結果として構成を先に考えた方が時間短縮になります。

なので,文章を書く際はこの本にあるように,構成を作ってから書き始めるのが良い心理学研究でも裏付けられています。

posted by アリシス at 19:47| Comment(0) | 本のレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする