2018年11月23日

老いに関する研究紹介

最近,日本心理学会が発行している「心理学ワールド」に「老い」が特集されていました。

筆者自身が,教職の介護体験5日間や高齢者の座談会などで交流させていただいたこと,アルバイトで老人ホームの記事を書いた経験から,高齢者を対象にした心理学研究に興味をもっています。

ということで,今回は心理学ワールドに掲載されていた老いに関する特集を紹介しながら,ついでに個人的な補足をしていきたいと思います。

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老いは,誰しも訪れるもので,身体機能や認知機能が低下することは避けては通れません。

しかし,加齢に対するネガティブなイメージを持っている高齢者は循環器疾患や認知症に罹りやすいことがボルティモア縦断研究の中で明らかになったそうです。

ネガティブなステレオタイプを抱くこと自体が日々のストレスとなり,その慢性的なストレスが脳や身体機関の病理的な変化をもたらすことで,各種の疾患が発症すると考えられています(Levy et al., 2015)。

一方で,ポジティブなステレオタイプが,余命の延長,疾患の発症予防,身体・心理的なwell-beingの向上,認知機能の向上などに寄与していることも明らかにされています(岩原, 2018)。

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心のアンチエイジングに役立つと思われるいくつかの理論や概念をしていきたいと思います。

◯主観的老い

主観的老いとは,実年齢にかかわらず,どの年齢層に自分が属していると思うかという主観的な自己の老いに対するイメージです。
インタビューや質問紙で訪ね,自分自身を「実年齢よりも若い」「同じくらい」「老けている」といった程度を測ります。(主観的老いを自分の実年齢との比較だけで測れるかという議論はおいておきます)

主観的な老いとの関連要因を検討した先行研究としては,他の高齢者よりも若いという意識がwell-being(幸福)に関連していることがあります(Westerhof & Barrett, 2005)。

例えば,自分は老いていると考えている高齢者に対し,自らの力でできることを増やしたり,周りとの対話によって自分だけが老いているのではないという認識をもたせることができれば,老いに対する意識も変化する(屋沢, 2018)のではないでしょうか。

(しかし,これは大切なことですが,自分が老いているといった評価が認知能力の低下や予防の指標になることが示唆されており,したがって,自身の老いを認識することで,身体的疾患や認知症の早期発見あるいは予防にも有用であるといえます。

優秀な人は,認知症が進んでも,メモをとったりするなど,認知機能の低下を様々な方法で補います。それが返って,認知症の発見を遅らせてしまいます。認知症は,現在の医療では早期発見をし,薬を飲むことしか解決策がないので,主観的老いへのネガティブな評価も大切な面はあります)


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◯選択最適化補償理論(SOC理論)

人は目標を達成することで,ポジティブな感情や幸福を感じることができます。SOC理論は,人が幸福に生きるための方略だと考えられています(岩原, 2,018)。

目標達成には,目標選択→資源の最適化→補償の3つの流れがあると言われているのですが(Baltes, 1997),これを高齢者にどのように適用できるのでしょうか。

ます,目標選択ですが,若いときは,自分のニーズや動機を満たすような比較的高い目標をたてると思います。しかし歳を取るとともに,能力や体力などの資源を喪失し,前のような高い水準の目標を達成することが難しくなってきます。そうすると,加齢にともなって,目標を切り替えたり,目標の水準を下げたりする過程が大切になってきます。

次に資源の最適化ですが,若いときは立てた目標を達成するために,自分の能力や時間,やる気を十分にかけることができると思いますが,歳を取ると前のような最大限のパフォーマンスができなくなります。

そこで,そうした限られた資源(能力,体力,やる気など)を上手く配分すること,あとは外部からの援助を頼る補償という方略が必要になります。

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◯心理学ワールド「老い」を読んで


全体的に心理学研究で示されてきた概念や方向性が高齢者に適用するとどうなるか,という感じで研究されているように感じました。

そのため,新しさというか,あまりビビっとくるものが無かったのですが,実感がないのが一番の原因かもしれません。。。


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posted by アリシス at 20:53| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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