2018年09月20日

研究者側から見たあれこれ

研究者や研究者の卵が世の中を見ると、TVに出演している心理学者(というよりもコメンテーター)の発言や世の中のコンサル的思考に違和感を感じるらしい。
聞いていて、私も理解できる部分や驚きがあったので共有したい。

まず某教授の一言、「最近の大学生は皆、コンサルみたいな考え方をするからね。院試の志望動機なんてさ、自分はここに入ってから〇〇の△△を研究したいとかってすごい調べてるの。こっちは『本が読みたいんです!』それだけで良いのにね。大学生は一番社会の影響を受けやすいというか、皆コンサル的な考え方になってきたね」

ええ、コンサル的な考え方が良いと思ってましたよ。私も。その志望動機がコンサル的な書き方かは、ちょっと分からない点もありますが、しっかり調べていた方が志望度の高さや熱心さ等をアピールできるのかと思っていました。

この教授だけでなく、やりたいことが具体的にはまだ決まっていなくても、勉強したいという熱意が大事だということを某先輩も言っていました。

「面接は熱意だよ。まだ具体的にこれがやりたいっていうのは分からないけど、とにかく統計学がやりたい。だから統計学がやりたいという熱意をとにかく伝えたよ」

最初聞いた時は「熱意だけで面接受かるのか」という疑問が強く、研究計画書の論理の一貫性や具体性の方が大事では、と思っていました。

例えば、就職活動で「その企業のどの部署で誰を相手に何をしたいか」とか具体的に言えた方が良い、みたいな、ありそうじゃないですか。

でも実際、入ってみないと分からないですよね。

研究は視野を広げて色んな見方でみてやっと研究内容を絞った後はその分野の先行研究を読みまくる、そしてやっと一本の論文を書くという、コンサル的には「非効率」なものかもしれませんが、それこそ学問のあるべき姿なのかもしれません。その教授としては。だから面接で、研究計画書の具体性ってそこまで重要ではないのかもなーと終わってから思いました。(私は超具体的に書きましたが)
私は好きでビジネス書を読むのですが、そこに書いてあることって教授のいうコンサル的思考で。私自身が、無意識のうちにコンサル的思考をするのが良いのだと思っていたのは何より驚きでした。

次に研究者の卵くんの一言「TVに出演する学者って断定するよね。本当にそう言えるのか、って思ってしまう。悩み相談に対して『こういう研究があります。だからその悩みはこういう解決ができます』って。その研究結果を実生活で活かすと効果があるのかっていうことが実証研究で示されてるなら良いけど、拡大解釈して断定しちゃってるなら、心理学のことを知らない視聴者に『こういう時はこうすれば良いのか』って誤った知識が入るかもしれないよね。それが怖い。本当に根拠があるなら言いけどね」

なるほど。これは彼の言ったことがとても分かるというか。どこまで一般化できるか、という問題。例えばアメリカの研究結果が日本でも当てはまるかというと、文化差などが大きく影響している恐れがあり、日本でも調べてみないと本当のことは分からない。

そして彼の言ったように、ある研究を実生活に応用する場合、その研究が実生活で本当に効果的に働くのかを実証した研究も必要だなと。

殆どの心理学はボトムアップ形式で、日常の出来事を抽象化して理論に纏めたり統計でおおよその傾向を掴みますが(と筆者は思っている)、その理論や傾向を自分の日常に入れようとすると必ずしも上手くいくわけでない気がしていて、実生活では、個々人の関係性や様々な要因が絡んでいて、一般化された理論が上手く適合するかは難しいところです。そこで効果を示す実証研究があったり、基礎研究と現場を繋ぐ研究があったりすると良いですね。

拡大解釈と根拠の薄い断定は、研究者になるなら避けたいと彼の話を聞いて改めて思いました。

追記
ある1つの論文で得られた結果が正しいとは限りません。様々な研究が積み重なって、結果が一貫していると、その結果は信頼に値すると思います。1つの実験結果を鵜呑みにするのも気をつけたいところです。

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posted by アリシス at 22:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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