2020年11月20日

尺度の氾濫問題

ここ最近、心理学領域で、尺度(ものさし)の氾濫が指摘されています。
※尺度とは?
心理学では目に見えない心理現象を尺度を用いて測定します。よくある尺度は、性格診断や適職診断などです。性格診断や適職診断のテストも様々なものが大量にありますが、その妥当性や信頼性はまちまちです。


良く分からない、あるいは信頼性や妥当性が乏しい尺度が大量に作成され、そのほとんどが誰にも使われず埋もれていく状態です。


そのため、尺度に関するの講義内で先生が「尺度作成しなくていいんじゃない?」と言ってしまうほど。


尺度を作成すると、それ自体が一つの研究になるため、”研究をやった感”が出ます。しかし、そのほとんどは誰にも使われず、ごみクズと化しています。

尻の穴を測る物差しづくりを始めたとしましょう。その物差しづくりにも、それなりに時間と労力とお金がかかります。尻の穴がどのような形になっているのか念入りに調べる必要があり、他人の尻の穴とも比較しなければなりません。しかし、せっかくできても、尻の穴を測らず、放置です。誰も尻の穴を測りたいと思っていないので、物差しは誰にも使われず、ゴミ屑と化します。


尺度を作成すること自体は、もちろん悪ではありません。自分が測りたいものの尺度が無ければ、自分で作成する必要がありますし、先行研究と同じものを測定する場合にも、より良い尺度を作れる可能性があります。

そのため、皆に使われるような、質の高い尺度を作成することが重要です。

また、皆に使ってもらう前に、自分で作った尺度は、まず自分が使うことも重要です。驚くことに、尺度だけ作って終わり、という研究がとても多いようです。これは、すごく驚きました。


さいごに「尺度作成をする研究者のダメダメ度尺度」を作成して終わります。
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0 尺度だけ作って終わり。信頼性・妥当性の検討が不十分。
1 信頼性・妥当性は確かめられているが、尺度だけ作って終わり。

2 尺度を作って、自分の研究で使った。

//////////合格ライン/////////

3 尺度を使って、自分の研究で使った。信頼性も妥当性も確認されている。

4 尺度を使って、自分の研究で使った。信頼性も妥当性も確認されている。他の多くの研究にも使用された。心理学に新しい知見をもたらした。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。







posted by アリシス at 23:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

質問紙の回答形式はどう決める?

心理学では、質問紙(アンケート調査)を用いて、データを収集・分析することが一般的です。

回答形式は2件法、3件法、評定尺度法があります。
2件法は「いいえ」「はい」、3件法は「いいえ」「どちらでもない」「はい」で、評定尺度法は「全くあてはまらない」~「とてもあてはまる」を5段階(5件法)や7段階(7件法)で尋ねます。

回答の選択肢が少ないと、実施時間が少なくて済むというメリットがあります。2件法と評定尺度法の回答時間を比較すると、評定尺度法は約2倍の時間が掛かるそうです(村上, 2010)。一方で、2件法は、情報量が少ないことに加えて、項目間の相関係数を算出すると低めに出やすい(村上, 2010)ようです。


基本的に、質問紙法を用いる際、回答形式を考える必要はありません。


心理学では、既存の尺度(アンケート)を用いることが多く、その際は、その尺度の回答形式をそのまま採用します。
(既存の尺度を用いるのは、尺度を一から作る場合、質問項目の作成~信頼性や妥当性の検討まで、それが一つの研究となり得るくらい大変な作業であること、信頼性や妥当性が高い既存の尺度を用いる方が、新たに(陳腐な)尺度を作るよりも良いこと、特定の概念(例えば、自尊心など)に関する研究を蓄積していく場合、自分が測定したい概念の尺度は先行研究によって既に作成済みであることなどが理由です)
仮に、回答形式を変更する場合には、その理由を説得的に論文内で明記する必要があります。


ここで、もし、筆者が独自に尺度を作成する場合、何件法を採用するべきか、考えてみました。
結論として、4件法を採用するのが良いのではないかと考えてみました。

理由① 偶数だから

3件法や5件法など回答形式が奇数の場合、真ん中の「どちらでもない」という選択肢ができます。多くの人はこの選択肢を選びやすいはずです。しかし、分析において、何ら情報を追加しない選択肢です。例えば「○○な人(性格特性)は××な行動傾向がある」ことを調べたい場合、「どちらでもない」が選択されると、その人の性格特性や行動傾向が分かりません。このような回答が多いと、全体的な傾向をみる際にも、ある性格特性とある行動傾向の関連があるか否かさえ、捉えることができなくなります。


理由② 選択肢が多すぎないから

心理学では、多いと6件法や7件法で尋ねたりします。一時期、選択肢が多い方が良いという風潮が心理学にあったようで、やや昔に作成された心理学の尺度は6件法、7件法が多い印象です。しかし、例えば、6件法で回答するとき3と4の選択肢や、4と5の選択肢って、すごく微妙な差だと思います。回答時の感覚に、ものすごく依存するのではないかという疑念がありました。選択肢はあまり多くても意味がないのではないでしょうか。


理由③ 2件法のデメリットがあるから

理由①で、2件法、4件法、6件法に絞り、理由②で、2件法、4件法まで絞りました。最後は、2件法のデメリットを述べて、消去法で4件法を選択したいと思います。

まず心理学では「いいえ」「はい」で答えられる質問が少ないのではないか、と率直に感じました。「ややあてはまらない」「ややあてはまる」の選択肢も用意した方が、その人の状態あるいは特性をより詳細に把握できるのではないかと考えました。ただし、調査協力者の認識は一人ひとり異なるため、必ずしも、「やや」の選択肢を増やしたからといって、個人の状態や特性を適切に把握できるとは限りませんが。

次に、2件法よりも4件法の方が、個人が回答した得点の幅が広がるため、個人差が分析しやすいのはでないかと考えました。例えば、○○点以上のハイスコアの人たちだけ取り上げて、さらに分析を加えたい場合や、○○点以下の人たちだけ取り上げて分析したい場合などです。2件法だと個人間の得点差があまりでないため、上記の分析はしにくいと思いますが、4件法だと得点差が広がるため、個人差を分析する余地が出てきます。



以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
posted by アリシス at 22:00| Comment(0) | 統計学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月04日

問題提起の仕方

研究で最も大切なのは、問題提起(問いを立てること)と言われています。

●良い問題提起とは何か?

⓵独創性のあるもの
②研究する(社会的・学術的に)意義のあるもの

これまでの研究と同じではない新しい知見を生み出す(あるいはより確かな方法で再検討できる)可能性のある研究で、研究をする意義が相手にしっかりと伝わるものであると、現時点で考えています。

逆にいうと、自分の研究の独創性と意義について、他者に納得してもらうよう頑張って伝える必要があるし、論文内あるいは研究助成金の申請書内で主張していく必要があります。

研究テーマによっては、研究意義や独創性を相手に納得させる苦労がいらない研究もあるでしょう。
例えば、心理学だと精神疾患など。困っている人が大勢おり、それを助けるような研究(例えば、抑うつ防止の教育プログラムの開発など)であれば、他者に意義を説得しなくても、それとなく大事そうだな…と思わせられるかもしれません。

一方で、テーマによっては「なぜその研究をする必要があるのか?」と思われるものもあります。自分にとっては知りたいことでも、多くの他者にとっては、優先順位が低かったり、関心が高くないテーマです。こうしたテーマを研究したいときに、自分の研究が今、まさに重要であることを相手に納得させなければいけません。


どうやって納得させるか考えるのが難しく、研究初めに一番時間を使うところであるように思います。
しかし、それをしっかり考えて、具体化し、論文あるいは研究助成金申請書に書いている人は、研究論文が評価されたり、
研究のお金が落ちたりしているように感じます。


研究のみならず、例えば、起業するにしても、社内でリーダーシップをとって主体的に行動するにしても、相手を説得して、動いてもらったり、お金を融資してもらったりすることが必要になるかと思います。大学のサークルや高校の部活でさえ、何か行動を起こすときには、他メンバーの納得を得ることが必要になるでしょう。他者を納得させられる力は、どこでも重要な力である気がします。
posted by アリシス at 23:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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